神奈川県の医療の現状について
関東の大都市圏を形成する重要な都市のひとつである、神奈川県。
ここでは、神奈川県内の医療状況や環境、体制などについてご紹介します。
神奈川県の医師数について
神奈川県内の医療施設で働く医師の数は、およそ18,000〜19,000人です。
全国的に同じ傾向が見られますが、神奈川県でも医療施設に従事する医師の数は、数百人から1,000人弱程度ではあるものの年々増え続けています。
神奈川県は関東では東京に次ぐ大都市であることもあり、総医師数に関しては全国的に見ても非常に多くなっています。
しかし、人口10万人対医師数を見ると205人ほどで、これは全国でも非常に少ないです。
救急医に関しては、人口10万人対医師数がかろうじて全国平均を上回ってはいますが、内科や外科、産婦人科や小児科、麻酔科などの主要な分野は、いずれも全国平均の数値を大きく下回っている現状もあります。
神奈川県の医療施設等の状況
神奈川県には現在、およそ12,100ほどの医療施設が存在しています。
全てが稼働しているわけではありませんが、医療施設のうちの99%以上は活動しており、その数は12,000を超えている状況です。
病院に関しては340〜350施設と数的には安定している一方で、一般診療所は現在6,700施設ほどが県内にあり、この数は年々増加傾向が見られます。
一般病院に関しては目立った増減はありません。
一般診療所に限ってみれば、有床施設は減少していますが、無床施設は増加している傾向も見られます。
さらに今後、病院数は徐々に減っていくと予測されています。
そんな中で高齢者の増加にどう対応するのかが神奈川県の大きな課題となってくるでしょう。
神奈川県の事業別の医療体制
神奈川県内には現在18,000台ほどのAEDが設置されています。
この成果は数字としても現れてきており、一般市民のAED等を利用した蘇生活動により、緊急な対応を要する患者の生存率が1,8倍ほど増加しています。
応急手当普及講習も多くの人が受講しています。
神奈川では初期救急について、休日や夜間に急患に対応することが可能な病院が17市1町に50箇所ほど存在し、二次救急に関しては180機関ほどがその体制を整えています。
ただ、二次救急医療体制は救急病院等の認定機関の増加が見られていないため、全体の病院数が増えない中、どう救急患者に対応していくのかが大きな課題とされています。
次に災害時医療ですが、神奈川県には災害拠点指定病院が30以上あり、これらすべての病院に災害派遣医療チームの体制が整えられています。
うち半分の病院では複数の災害派遣医療チームを抱えており、災害時に対する医療体制は比較的万全に近い状態であると言っていいでしょう。
災害派遣精神医療チームも独自に整備し、万が一に備えた準備はある程度整っている状態です。
周産期医療体制に関しては、神奈川県では周産期救急医療システムを30年以上前から運用し、ハイリスク分娩などに対する医療体制を常時整えています。
その他、受け入れ病院の状況把握や検索システムの構築にも力を入れています。
最後に小児医療ですが、神奈川県では看護師が初期対応できる電話相談体制が構築されています。
初期救急も休日夜間急患診療所等により、小児救急患者の初期救急にあたれる状況です。
一方で、電話相談は「相談数に対して回線が十分に確保されていない」という声も聞かれます。
神奈川県内の4市11町1村では、小児初期救急を受け入れられる休日夜間救急診療所が存在していないという事情もあり、まだまだ課題が残されているのが現状です。
神奈川県の患者の受療状況
続いて、神奈川県の患者の受療受療率について見ていきましょう。
主要疾病に関しては、神奈川県は全国平均よりも低い現状があります。
その傾向が特に顕著なのが精神疾患です。
これは全国平均を大幅に下回っており、受療率が低い状況です。
すべての疾病の受療率を見てみると、入院に関しては神奈川県は全都道府県内で最も低くなっています。
人口10万人対受療率は680程度と、全国で唯一600台です。
外来に関しては同じく人口10万人対では5,750ほどで、全国的に見ても決して低いとは言えません。
10年ほど前は低かったこの数字が年々上がっているのが現状です。
このことから、神奈川県は外来受療率に関しては上昇傾向が見られると言えるでしょう。
神奈川県の地域医療構想について
来たる超高齢化社会、とりわけ2025年問題に対応するため、神奈川県では神奈川県地域医療構想を策定しています。
これをはじめとした神奈川県の医療体制構築のための取り組みについて紹介していきます。
不足する病床機能の確保及び連携体制構築に向けた取り組み
神奈川県だけに当てはまることではありませんが、将来的に病床機能が不足することは避けられません。
県内では特に、回復期に必要な病床数の不足が懸念されています。 現状の病床機能の把握、機能の転換や整備、医師の確保など、重要な課題に対しての取り組みが必要な状況です。
病床機能の確保ができたとしても、医療機関同士の連携が取れていなければ意味がありません。
こうした連携を図るため、神奈川県では地域医療構想調整会議等を設置。
情報共有を図ると共に、各医療機関や各種団体への働きかけも強化しています。
さらに神奈川県は県民へ向けての情報提供も積極的に行っています。
より無駄なく診療を受けることが病床機能の確保にも繋がるという観点から、啓発活動にも力を入れているのです。
医療従事者の確保及び養成に向けた取り組み
医師の全体数は増加していますが、まだ2025年問題に対応するために十分な数が確保されている状況には至っていません。
神奈川県では医師の養成や確保の強化を図るとともに、医療従事者が神奈川県内の医療機関に定着するための取り組みを推進しています。
同じ県内でも偏在の問題は解消されていないため、それに必要な取り組みも行われているところです。
例えば、地域医療支援センターの設置による医師不足の状況把握や、医師のキャリア形成支援など。
学生へは修学資金の貸付等も行い、神奈川県内の医療機関への就職と定着を目指しています。
また、神奈川県医療勤務環境改善支援センターでは「勤務環境の改善に積極的な病院をサポートする」など、医師にとって働きやすい環境作りに努めています。
在宅医療の充実に向けた取り組み
高齢化が進めば、当然在宅医療の需要も増えてきます。
むしろ在宅医療の充実こそが、神奈川県のような大都市の抱える医療課題の解決の鍵となるでしょう。
県では地域包括ケアシステムを推進するため、あらゆる整備を進めています。
医療機関の行う在宅医療の整備を推進し、情報通信技術を活用したネットワークの構築にも力を入れているところです。
介護分野との連携も進め、かかりつけ医の普及等も推進。
特に介護分野との連携に関しては、地域ケア他職種協働推進事業や在宅医療・介護連携推進事業による研修会などが開催され、体制整備のための取り組みが行われています。
神奈川県の医師求人の特徴
神奈川県の医師求人を見ると、やはり横浜、川崎、相模原市の求人数が非常に多い状況です。
横浜・川崎地区には、県内の大規模及び中規模病院、一般診療所が集中しています。
求人も他のエリアと比較すると県内では最も多くなっており、幅広い医師求人と出会うことができるでしょう。
待遇等も比較的恵まれた案件が多いですが、そうした案件では一定程度の経験が求められます。
相模原地区は10万人対病院数はそれなりに存在しているものの、一般診療所の数は県内でもあまり多い方ではありません。
規模の大きな病院の求人が目立ち、横浜や川崎地区ほどクリニック求人は多くはないでしょう。
比較的若く経験の浅い医師でも受け入れる医療機関が多いのも特徴です。
横須賀・三浦地区の大きな課題は、産婦人科医の不足です。
そのため産婦人科の求人が多い他、老年人口の割合も高く高齢者世帯数も多いため、在宅医療の需要も非常に高くなっています。
こうした高齢者向けの医療に関連した求人が目立つ点も特徴的です。
湘南地域ですが、東部に関しては一般診療所が人口に対して多く、逆に病院の数や病床数が少ない現状があります。
そのため一般診療所の求人は比較的見つけやすいでしょう。
年収が高く勤務環境の良い医療機関の求人も見つけやすいはずです。
県央地域は病院数の割合が多く、逆に一般診療所の割合は少ないのが特徴です。
そのため求人は病院案件が多くなっています。
プロフェッショナルというよりもジェネラリストが好まれる傾向があり、転科を考える医師や他地域からの転職を考える医師を幅広く受け入れる傾向が見られます。
県西地域は県内の平均と比較すると生産年齢人口が少なく、老年人口が多くなっています。
医療機関の総数は少ないのですが、10万人対病院数は県内でも多く、一般診療所も人口対で見れば少なくはありません。
内科系求人が多いのが特徴で、これは高齢者割合が高いことが大きな原因でしょう。
まとめ
ドクタールートおすすめの医師転職特集はこちら