大阪府の医療の現状について
大阪府域の医療状況は、現在どのようになっているのでしょうか。ここからは、大阪府の医療圏や医師数、患者の受領状況などについて詳しく見ていきましょう。
大阪市医療圏の8つの二次医療圏
まずは入院医療サービスを中心に提供される二次医療圏についてですが、大阪府域は8つの二次医療圏に分類されています。
以下に大阪の二次医療圏と、それらを構成する市町村をまとめるので、ぜひご参考ください。
・豊能…豊中市、池田市、吹田市、箕面市、豊能町、能勢町
・三島…高槻市、茨木市、摂津市、島本町
・北河内…守口市、枚方市、寝屋川市、大東市、門真市、四條畷市、交野市
・中河内…八尾市、柏原市、東大阪市
・南河内…富田林市、河内長野市、松原市、羽曳野市、藤井寺市、大阪狭山市、太子町、河南町、千早赤阪村
・堺市…堺市
・泉州…岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、和泉市、高石市、泉南市、阪南市、忠岡町、熊取町、田尻町、岬町
・大阪市…大阪市
最も人口が多いのが大阪市で、その数は270万人以上。 北河内と豊能がそれぞれ100万人以上の人口を抱え、それ以外は60万人から90万人前後の人口構成となっています。
大阪府の医師数について
大阪府の医師に関する状況ですが、まず医師数を見てみると、その数は約25,000人。
これは東京都に次いで全国で2番目に多い数です。
うち医療施設に従事している医師は23,900人ほどで、そのうち男性医師は約18,600人、女性は5,300人ほどです。
いずれの数字も東京に次いで全国で2番目に多い数となっています。
このうち政令指定都市である大阪市の医師は9,300人となっており、大阪府内では当然最も多くの医師がいる状況です。
着目したいのが人口10万人あたりの医師数です。 大阪はこれが285人ほどとなっています。
医師の総数では全国で2番目に多かった大阪ですが、10万人あたりの医師数は東京都はもちろん、石川県や和歌山県、鳥取県や岡山県などよりも下回っており、大阪府全体としては医師不足の現状がうかがえます。
実際に医療施設に従事している医師はさらに少なくなるため、このあたりは大阪府の抱える一つの課題となりそうです。
ちなみに、大阪市内に限ってみれば、人口10万人あたりの医師数は345人ほどと、大阪全体の医師数よりもはるかに上回っています。
大阪府の医療施設等の状況
次に、大阪府内の医療施設等の状況及び現状を確認しましょう。
大阪府内には500以上の病院があります。
現在は530前後となっているものの、ここ数十年間で減少傾向も見られるため、数年後には500施設を切るかもしれません。
ただ、ここ数年に限ってみれば増加傾向にあり、病院数が今後どう変化していくのかは見えにくい状況です。
人口10万人あたりの病院数は約6と、これは全国平均と比べると少ない現状があります。
ただ、病床の数を見ると総数105,400ほどで、人口10万人あたりの病床数は1,200となっており、これは全国平均とほぼ変わりません。
大阪は大都市であるため、人口10万人あたりの病院数はさほど多くはないものの、規模の大きな病院が存在することで病床数はある程度確保していることがうかがえます。
大阪府内の一般診療所の数は8,400ほど。
こちらは病院数と異なり顕著な増加傾向が見られます。
また、人口10万人あたりの一般診療所数も全国平均を大幅に上回っている点が大阪府の大きな特徴です。
大阪府の事業別の医療体制
大阪府の医療体制を、特に重要な4つの事業に焦点を当て考えてみましょう。
大阪府の大きな課題となっている1つの事業に救急医療があります。
人口の多い大阪府では、この救急医療体制が万全とは言えない状況であることは否定できません。
大阪府では年間50万人前後の人が救急搬送されますが、そのうちの80%ほどを民間の病院が対応している状況です。
休日や夜間の初期救急医療は6つの病院と40ほどの診療所が対応しており、二次救急に関しては救急告示医療機関として300箇所ほどが受け入れ体制を整えています。
災害医療においては、災害拠点病院として19箇所、災害医療協力病院が300弱ほど確保されているものの、医療機関の耐震化が進んでおらず、さらにはマニュアルや災害医療コーディネーターなど医師以外の人員も不足しています。
周産期医療体制に関しては、大阪は全国で最も先進的であると言ってもいいでしょう。
各医療機関の連携により、高度な医療体制が提供できる状況です。
また、小児医療体制も比較的整っています。
ただし小児救急に関する体制にはまだ改善の余地があり、児童虐待への対応は整いつつありますが、まだ十分とは言えません。
大阪府の患者の受療状況
大阪府では、年間に550,000人前後が外来患者として大阪府内の医療機関を受診しています。
このうち大阪府内に住んでいる人は510,000〜520,000人程度。
入院に関しては90,000人ほどで、このうち大阪府内に住んでいる人は85,000人ほどです。
外来に関しては年々増加しており、高齢化に伴って、今後もこの数は増えると予想されます。
一方で入院患者に関しては横ばいか、若干減少傾向も見られます。
これは在宅医療が広がったことによる推移と考えられるでしょう。
ただし、65歳以上に関しては、入院する患者の割合が増加しており、また、外来も同様に増加傾向が見られます。高齢化による影響は、こうした受領状況からもわかるのではないでしょうか。
大阪が行っている医師をサポートする取り組み
大阪には医師をサポートするための組合が複数あります。
また、クリニックの開業を支援しているところもあります。
こうした組合や組織をご紹介しますので、すでに大阪でお勤めの医師や、大阪の医療に興味を持つ医師の方々はぜひご参考ください。
大阪府医師共同組合
昭和29年に設立された大阪府医師協同組合では、大阪の医師の業務や活動、生活をサポートするあらゆる体制が整えられています。
大まかには購買事業や保険事業、福利厚生事業に分類されており、それぞれの事業分野で医師の方々の負担を減らすような取り組みがなされています。
例えば、最新医療機器の情報提供や医療消耗品の通信販売を行い、医療機器の展示会や講習会なども実施。医療機器や医療用品を購入すると配当金が得られる「利用分量配当金制度」、通称“とくとくポイント”制度なども導入しています。
保険事業に関しても、生命保険から損害保険等各種用意され、ドクター年金などはもちろん、自動車保険やゴルファー保険まで完備しています。
福利厚生事業として、マンションや戸建ての購入に関するサポートも行い、各種カードサービスも充実。
家族連れでも安心して生活ができるよう、集配クリーニングサービスや電化製品、ハウスクリーニング等も会員価格で購入・利用することが可能です。
大阪府医師信用組合
大阪府医師信用組合は、医師向けに組織された金融機関です。
医師のキャリアをトータル的に考えながらの利用が可能となるため、非常に手厚く利用しやすい仕組みに感じられるでしょう。
研修医であっても500万円を限度に保証人や担保不要で借り入れが可能なローンが用意されています。
勤務医や開業医に向けた住宅ローンやリフォームローン、教育ローンなども完備。特に新規開業ローンは、独立志向の強い医師の方にとっては利用価値が高まるでしょう。
クリニックを開業する際に必要な資金を、大阪府医師信用組合のローンにより調達することも可能です。
事業の拡大を検討している医師の方へ向けた「診療所ステップアップローン」も用意されています。
また、こうした各種ローンのみではなく、預金サービスも行っています。インターネットバンキングシステムも備えているので、通常の金融機関と遜色ないサービスを受けることができるでしょう。
医院開業ロードマップ
株式会社シナプス、株式会社チェルカーレ、株式会社中央微生物検査所が共同で立ち上げた組織が「医院開業ロードマップ」です。
医師の知識はあっても、開業や経営に関する知識は皆無の医師の方が多い中、そんな開業医を最初から最後まで徹底サポート。
医師目線による開業支援を行っています。
・医院開業物件の紹介
・医院開業セミナーの開催
・融資や手続きのサポート
・医療器機導入に関するサポート
・開業リスク軽減のためのアドバイス
こうしたあらゆる支援を通じて、医師が独立開業するまでの道筋をつけることが医院開業ロードマップの役割です。
開業を視野に入れている医師からの相談なども随時受け付けています。
興味を持たれている医師の方は、一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
大阪府が行っている医師確保の取り組み
大阪府では行政が中心となり、医師不足解消のための取り組みを積極的に行っています。
その一つが、大阪府地域医療確保修学資金等貸与事業です。
医学生や臨床研修医に対する事業で、大阪府域の医療へ携わることを念頭に置いた医学部生へ修学資金等を貸し出しています。
医学部卒業後、特定の病院で働けば返還が免除されるなどの優遇措置が取られるため、医学生や研修医にとっては非常に大きなサポートとなるでしょう。
その他、医師のキャリアアップをサポートする大阪府医療人キャリアセンターの地域医療支援センター運営事業や、女性医師確保のための女性医師等就労環境改善事業も実施。
あらゆる年代や立場の医師を確保しようと、大阪府はこうした様々な取り組みを行っています。
大阪府の医師求人の特徴
大阪府は東京に次ぐ大都市であり、大学病院や大規模な医療機関も少なくありません。
医療体制の強化には行政が力を入れており、新たな拠点となる医療機関も登場してきています。
こうした点から、大阪府内の医師求人は非常に多く、どのような診療科目や分野であっても求人が見つからないことはまずありません。
若い医師も多いことから医師の平均年収はさほど高くはないものの、医師の確保はまだまだ十分とは言えない医療圏が多く、医師求人に記載された年収や報酬額は他の地域よりも高い傾向が見られます。
質の高い医療を提供するため、一定の経験や知識を持った医師を求める医療機関もあります。
一方で、人材確保優先の観点から、若い医師の転職や入職を歓迎する医療機関も多く、経験がまだ浅い医師でも比較的転職しやすいと考えられます。
また、大阪府は診療所の数が全国と比べても多いため、クリニックの求人が非常に豊富な点も大きな特徴でしょう。
まとめ
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