【埼玉県】医療の現状│医師確保・支援の取り組みと求人の特徴

エリア別医師求人の特徴

更新日:2019.07.19

【埼玉県】医療の現状│医師確保・支援の取り組みと求人の特徴

埼玉県の医療の現状について

埼玉県の医師数について

埼玉県の医療機関に従事する医師の総数は約12,000人で、他の都道府県と比較しても非常に多い人数となっています。
一方で近年、埼玉県は人口増加の傾向にあるため、人口比でみると十分な医師数の確保が出来ているとはいえません。
最新のデータによると、埼玉県の「人口10万人あたりの医師数」は約160人。これは全国でも最低の水準です。

 

埼玉県内は全部で10の二次医療圏に分類されています。この中で最も医師数が多いのは、さいたま医療圏です。
唯一2,000人を超えていますが、患者10万人換算では約172人の医師数となり、決して多くはありません。


二次医療圏内で「人口10万人あたりの医師数」が最も多いのは川越比企医療圏で、その数は約217人。
しかし、これでもまだ全国平均には及ばない状況です。

 

こうした数字からも、「医師の確保が急務である」という埼玉県の現状をうかがい知ることができます。

 

埼玉県の医療施設等の状況

現在、埼玉県内にある病院数は約340施設です。
人口10万人あたりの病院数でみると、約4.7施設となっています。
全国平均は6.7施設ほどですので、医師数だけでなく病院数も不足しているという現状が見て取れます。

 

また、一般診療所ですが、埼玉県内には約4,200施設が存在しています。
数だけみると多く感じますが、こちらも10万人あたりで考えると60施設を下回っており、全国平均よりも少ないのが現状です。
ただ、病院とは異なり一般診療所の数は顕著な増加傾向が見られます。

 

次に病床数ですが、埼玉県の病院の抱える病床数は、現在62,000を超えています。
しかし、これも人口10万人あたり約852と、全国平均から400ほども少ない数字にとどまっている状況です。

 

埼玉県の事業別の医療体制

救急医療体制

まず注目したいのが、救急医療分野です。
埼玉県では、医療機関を受診する患者が年々増加しています。
特に救急搬送人数は急増傾向にあり、その半数が入院を必要としない患者です。

 

この状況を是正するためには、「救急医療機関の受診」および「救急車の利用」を適正化する活動が不可欠となるでしょう。
同時に「救急医療情報システムの強化」「救急隊と医療機関の連携」の必要性も、より高まってくると思われます。

 

災害医療体制

人口に対して災害拠点病院の数が少ない埼玉県では、災害時医療体制にも大きな課題を抱えています。
災害派遣医療チームの数も非常に少ない状況のため、災害発生時における「県外から派遣された医療チームの受け入れ体制」について、さらに整備を進めねばなりません。
そのための「配置調整」や「情報の円滑な提供」及び「共有体制の構築」なども課題となるでしょう。

 

周産期医療体制

埼玉県の周産期医療の体制ですが、こちらは「母体搬送の1割以上が県外へと搬送されている」というのが現状です。
行政として、新生児集中治療室や専門医師の確保へ向けた取り組みを進めていく必要があります。

 

小児医療体制

小児医療に関して、埼玉県では医療資源に地域差が生じています。
都市部では比較的資源が確保できているものの、一部エリアでは休日や夜間の小児医療体制が不十分な状況が依然として継続中です。


軽症でありながら救急医療を利用するケースも増加しており、対策が急務となるでしょう。
適切な受診を促すとともに、軽症患者に関しては児救急病院以外の医療機関へ搬送できるよう「救急隊との連携」についても見直していく必要がありそうです。

 

埼玉県の患者の受療状況

埼玉県の「人口10万人あたりの入院の受療率」は、約720となっています。この数字は全国でも非常に低い水準です。
同じく、「人口10万人あたりの外来の受療率」は5,000弱となっており、他県と比較すると少ない状況が続いています。

 

埼玉県が人口増加にも関わらず「低い受療率を維持できている」理由としては、若い世代の流入が多いためだと考えられます。
「1人あたりの国民医療費」も30万円を切っており、これは全国で最も低い額です。

 

埼玉県が行っている医師の確保・支援の取り組み

埼玉県総合医局機構が取り組む「オール埼玉」

埼玉県内の医療機関へ「医師の紹介や転職に関する斡旋事業」を行っている埼玉県総合医局機構は、「オール埼玉」と称した医師確保の施策を打ち出しました。

 

この埼玉県総合医局機構の創設は平成25年。
埼玉県医師会や県内の各医療機関、医学部を持つ大学などが一体となり立ち上がった団体です。
当取り組みでは、医師の確保に向けた「情報発信や各種相談への対応」を積極的に行っている他、医師の「県外流出を防ぐための支援」や「復職のためのサポート」などに取り組んでいます。

 

また、医師を目指す学生に対して「医師確保が急務であるエリア・分野への就職」を推進。
全国で唯一、高度な医療技術を習得することが可能な「地域医療教育センター」を設置していることでも有名で、最新技術を用いた研修を受けることができます。
このように「高いスキルを学びたい」と考える医師に向けて充実した環境を提供している点でも、精力的に活動していることがうかがえるでしょう。

 

こうした取り組みが功を奏してか、埼玉県の「医師数の増加数&増加率」は全国でもトップクラスの水準です。
特に「臨床研修医の内定者」の伸び率は全国で最も高くなっています。

 

埼玉県の女性医師に対する支援

埼玉県では、女性医師の就業サポートを行うための「埼玉県女性医師支援センター」が設置されています。
これは、女性医師が安心して働くため、あるいは医師としてのキャリアを充実させるために必要な支援を行う事業体です。

 

例えば、結婚や育児などで臨床現場を離れた女性医師に対して、「復職に関するサポート」や「研修を行うための医療機関紹介」を行うなど、現場復帰へのサポートを徹底。「女性医師歓迎の求人」も積極的に紹介しています。

 

また、育児をしながら働く女性医師へのサポートや介護支援なども実施しており、女性医師が無理なく働ける環境を提供しています。
孤独な状況や悩みを相談できない環境を回避するため、女性医師同士の情報交換の場を設けている点も、この支援センターの特徴です。
入職後のサポートも充実しているため、再び医師として働き始める女性の不安を和らげることに、大きく貢献しているでしょう。

 

さらに埼玉県は、女性医師を積極的に雇用した医療機関へ「雇用費用の助成」を実施しています。「女性医師等就労支援事業費補助金制度」と呼ばれる取り組みです。
これは女性医師本人への働きかけに加えて、医療機関に対しても補助金を助成することで、より女性医師に対する支援を強化する目的があります。

 

埼玉県のこれらの施策は、「医師確保」だけでなく「女性医師の増加」「勤務環境の改善」といった面でも、非常に有効な取り組みであると言えるでしょう。

 

医学生への支援

埼玉県では、医学生に対し「埼玉県医師育成奨学金」制度を実施しています。
これは、若い医師を県内の医療機関で確保するための奨学金制度です。
奨学金の貸与金額は「100万円以内の入学に必要な費用」及び「月額20万円以内」と定められています。

 

この制度の対象は、「埼玉県出身の医学生」や「県指定の大学医学部に入学した学生」となり、一定の条件を満たすことで奨学金の返還が免除される仕組みです。
一定の条件とは、医学部を卒業し医師免許を取得したのち「特定エリアの医療機関や診療所で働く」ことになります。
特定エリアは「医師の不足が顕著で医師確保が急務である地域」が主となっているようです。

 

これらの条件等を満たすことで奨学金制度への応募が可能となりますが、全ての応募者がこの支援を受けられるわけではありません。
募集人数も各大学で定員があるため、この制度の利用を望む学生は事前に確認する必要があるでしょう。

 

埼玉県の医師求人の特徴

政令指定都市である埼玉県は東京へのアクセスが良好なエリアが多いため、近年は若い世代を中心とした人口流入が盛んになってきています。
一方で、冒頭で説明したとおり、「医療体制や医療環境が人口の増加に追いついていない」という現状です。

 

そのため、埼玉県では常に多くの医師求人が市場に出回っています。
医師が埼玉県内への転職を考えた際、医師募集中の病院や診療所を見つけるのに苦労するといった事態はまず起こらないでしょう。

 

また、他県と同様に「医師の偏在問題」も存在しています。
都心に近いエリアほど「医療機関が多く求人数が豊富」な一方で、都心から離れたエリアの方が「給与や待遇面で優遇されている」といった傾向がみられるでしょう。

 

二次医療圏で見た場合、「さいたま」「南部」「東部」「南西部」「西部」さらには「川越比企(南)」までは、給与水準がそこまで高くない求人も多く見受けられます。
逆に「県央」「利根」「北部」「秩父」などは医師不足が深刻なため、比較的好待遇の案件が目立つ状況です。

 

埼玉県の「都心に近いエリア」は症例豊富で、高度な医療環境を整えた医療機関が多い傾向にあります。
キャリアアップを実現するために最適な求人が見つかりやすいでしょう。


家族などの住環境を考慮する場合は「さいたま」や「南部・南西部」などで求人を探すメリットが大きくなります。
条件面を重視するのであれば「北部」「秩父」の求人へと目を向けることで、希望の求人と出会いやすくなりそうです。

 

最後に診療科目に関してですが、埼玉県ではどの分野も医師不足の状況が続いています。
若い人の移住がさらに加速していくことで、小児医療や周産期医療分野の求人も今後増えるでしょう。

 

一方で、北西部では在宅医療関連の求人が増加傾向にあります。
比較的小さな病院や診療所、老健施設などの求人も多いので、豊富な選択肢が確保できるのではないでしょうか。

 

まとめ

・埼玉県内で働く医師数は多いものの、人口10万人あたりでは全国平均を大きく下回っています
・医師数とともに医療機関数も人口比で全国平均を下回っている状況が継続中
・医療体制の充実は見られますが、救急医療を中心に課題の解決が必要です
・県内の患者受療率は入院・外来ともに非常に少なく、全国平均を下回っています
・埼玉県総合医局機構は「オール埼玉」で医師確保に取り組んでいます
・「埼玉県女性医師支援センター」を設置し、女性の復職や就業をサポート
・学生に対しては「埼玉県医師育成奨学金」制度で経済的支援を実施
・北西部の医師求人は待遇が良い傾向があり、都心に近いエリアでは医療環境や症例が充実した病院の求人が多く見受けられます

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